犬の甘噛みが痛い!|甘噛みの理由と効果的なしつけ方法を徹底解説


子犬が甘噛みをするのは、成長過程において自然な行動で、周りを探索したり、コミュニケーションを取るための重要な手段です。
しかし、子犬の時期に適切にしつけを行わないと、成犬になってからも噛む行動が残り、人や物に対する事故やトラブルの原因となる可能性があります。
今回は、子犬が甘噛みをする理由や、効果的な対策について解説します。

目次

甘噛みとは?犬が甘噛みをする理由

犬の「甘噛み」とは、攻撃性を伴わない軽い噛み方のことです。攻撃的な「本気噛み」とは根本的に異なります。甘噛みは子犬の自然な行動で、主に以下のような理由が挙げられます。

歯の生え変わり時期の痒み

子犬は、生後4〜5か月から乳歯が抜け始め、だいたい生後8か月の頃には永久歯に生え替わります。この時期は歯がかゆかったり口の中に違和感があったりするので、それを解消するために何かを噛むことが増えます。

コミュニケーション・遊びの一環

子犬は、母犬にじゃれついたり、兄弟犬と噛み合って遊んだりします。これは人に対してもよく見られる行動で、本気ではなく愛情表現や遊びの一環として噛んでいます。

また犬は、獲物を捕食する狩猟本能があります。獲物を探す、追う、飛びかかる、息の根を止める、運搬する、解体する、など対象物を獲物に見立てた遊び方をします。

飼い主さんが動く時に足を噛んでくる、ヒラヒラしたスカートを噛んでくる、長い髪の毛を噛んでくる、なども動く物に反応して追いかける狩猟本能が影響しています。

好奇心によるもの

子犬はとくに見るもの全てが目新しく、好奇心旺盛です。探索欲求から、対象物の匂いを嗅いで口の中に入れ、食べられる物か、味や噛み心地、噛んだらどうなるかを確認します。

探索欲求から、家具やスリッパ、電気コードなどを噛んでしまう犬は多いのではないでしょうか。

退屈している

長時間の留守番や、散歩や運動時間が少ないなどの発散不足により、退屈しのぎで何かしら噛んでいる場合があります。

学習による行動

噛まれた後に、「やめて!」「ダメ!」などと叱るつもりで声をかけると、「飼い主さんが構ってくれた」と学習する可能性があります。噛んだら構ってくれたと学習すると、関心を求める時、遊んで欲しい時、噛んでアピールするようになります。家具やトイレシートを破壊している時の「こら!」などといった注意も同様で、「噛んだら飼い主さんの関心が寄せられた」と学習する可能性があります。

また「痛い!」と大きな声で反応したり、手をサッと引いたり、振り払ったりすると、犬は楽しい反応が返ってくると学習し、噛む行動が増えてしまう場合があります。

叱ることで、一時的に噛まなくなるかもしれませんが、叱られることで飼い主さんに対して恐怖心を抱く可能性があります。恐怖心を抱いてしまうと、防衛本能から「飼い主さんから逃げるようになる」「飼い主さんが近づくと攻撃するようになる」という可能性があります。

甘噛みを放置してしまうと?

怪我を負わせる可能性がある

子犬の頃は軽い甘噛みであっても、放置することで噛むこと自体が習慣化し、成犬になった時には力の強い本気の噛みつきへと発展する可能性があります。犬が力加減を学ばないままでいると、日常の遊びやコミュニケーションの中でも、飼い主や他人、他犬に対して怪我を負わせるリスクが増加します。

誤った学習から問題行動に発展する

「噛んだら飼い主さんが構ってくれた」と学習した場合、その甘噛みを放置してしまうと、要求行動として噛むことが増えてしまいます。これが習慣化すると、食事や散歩、遊びなどの要求を通じて噛む行動を繰り返し、日常生活での問題行動につながります。

破壊行動や事故のリスク

子犬に噛んで良い物、良くない物を教えないまま放置していると、家具を噛んでボロボロにしたり、トイレシートや電源コードを噛んだり、誤飲や事故につながる可能性もあります。

しつけ方法

環境を整える

まず、部屋を片付けましょう。犬には噛まれたら困る物の判断が出来ません。人間の赤ちゃんが家にいると想像してみてください。犬に噛まれて困る物、危険な物は犬の届かない場所に置くことが一番大切です。スリッパや靴下などの洗濯物、テッシュ、本、リモコンなど、机の上に置いて届いてしまうのであれば、棚にしまいましょう。トイレシートや電源コード、ゴミ箱や家具などにはカバーを使用したり、柵やゲートを使用して物理的に犬がアクセスできないようにすることが効果的です。

また、ヒラヒラしたスカートやひもが付いているパーカー、長い髪の毛などは、動く物を追いかける狩猟本能を刺激してしまいます。そのような服を着ることは控えたり、髪を結ぶなど対策をしましょう。

おもちゃで一緒に遊ぶ

一緒にたくさん遊んで体力、欲求を満たしてあげましょう。体力が有り余っている退屈な子犬は、自分で遊びを見つけて、色々な物を破壊します。お散歩時間は足りていますか?遊ぶ時間は設けていますか?まずはしっかり運動欲求を満たしてあげられているかを一番に考えてあげましょう。疲れて満たされた犬はすぐに寝てくれます。

引っ張りっこやボール遊び、嗅覚を使うノーズワークがおすすめです。

引っ張りっこは、ロープを獲物に見立て、追いかけ、飛びかかり、息の根をとめる、といった狩りごっこをします。飼い主さんが、ロープを獲物のように動かしたり、愛犬と一緒に狩りをしているように動いたりすると、犬はとても満足してくれます。

飼い主さんが自分の手を動かして、手を追いかけさせる遊び方はNGです。人の手を噛ませないよう、長めのロープで遊ぶなどの工夫が必要です。

興奮させ過ぎない状態で遊ぶのがポイントです!遊んでいる途中で興奮が高まり、唸り声をあげてきた場合は、遊びを中断しましょう。興奮状態のまま遊ばせていると、噛む行動が起こりやすくなり、飼い主さんの声も届きません。興奮状態が続く事で逆に眠られなくなり、常に落ち着かない犬に育つ可能性があります。犬の状態を見て、休憩をはさみながら遊びましょう。

噛んでも良いおもちゃを与えておく

子犬に構ってあげられない時は、噛んでも良い耐久性のあるおもちゃを与え、噛みたい欲求を満たしてあげましょう。特に子犬から目を離す時は、柵などで空間を仕切り、噛んでも良いおもちゃだけ置くようにするなど、工夫しましょう。ちょっと目を離した隙に…とおっしゃる飼い主さんは多いものです。何か物を噛まれてからではなく、噛まれないような対策する事が大切です。ゴム製の知育玩具や、木の齧るおもちゃなど、誤飲の心配がない物を選びましょう。

もし噛まれた場合は構わない

物を片付け、欲求を満たしたうえで噛まれてしまった場合は、相手をすることをやめましょう。

もし、おもちゃ遊びをしている途中で噛まれてしまったら、遊びを中断します。(噛まれるように遊んでいないか、ロープの長さは適切かをまず確認しましょう)この時は何も言わず、犬の目も見ず、動きを止めます。噛むのをやめたら遊びを再開して大丈夫です。もしそれでも噛むのをやめない場合は、おもちゃを持って、その部屋から立ち去りましょう。数秒経ったら部屋に戻り、遊びを再開します。再び噛んできたら、遊びを中断し、何も言わず部屋を出ましょう。これを根気良く繰り返します。

「飼い主さんを噛んだら楽しい遊びが終わる」と学習してもらうためです。

甘噛みをされた時のNG行動

口を掴んで叱る

口を掴んで叱ると、人の手に対して嫌悪感を抱くようになってしまいます。手を近づけただけで噛むようになる可能性もあります。日々のお手入れを行えなくなるなど、日常生活に支障をきたし、飼い主さんとの関係性に強く影響します。

大きなリアクション・大きな声で叱る

甘噛みをされた時、「痛い!」「やめて!」などの大きなリアクション、叱責をすることは避けましょう。

飼い主さんは叱っているつもりでも、犬は「噛んだら飼い主さんが反応してくれた、構ってくれた」と学習する可能性があり、より噛む行動を増やしてしまいます。

一貫性のない対応

何かを教える時は、ご家族全員の一貫性のある対応が大切です。「昨日は噛まれた時、部屋から出た。今日は噛まれたけど、部屋から出るのが面倒くさいから遊び続けた」「他の家族は練習してるけど、自分だけは噛まれても大丈夫」というような一貫性のない対応は、かえって甘噛みを習慣化させます。ギャンブルと同様、時々成功する方が行動は定着してしまうものです。必ず全員で同じ対応をしましょう。

甘噛み解決!トレーニング体験談

「遊んでいる途中で手に噛みついてくる!」とお困りだったM様

手の甲や腕は傷だらけ…「甘噛みは落ち着いてくると聞いていたのだけど、このまま放置して良いものか。」とのご相談でした。

まずは、飼い主さまの遊んでいる様子を見させていただきました。

観察すると、ロープのおもちゃはあまり動いておらず、飼い主さま自身の手の方がよく動いておりました。犬からすると、手の方が魅力的なおもちゃに!さらに手を噛むと「痛い!痛い!」と楽しい反応が返ってくる!犬はなんとも楽しそうに遊んでおりました。

おもちゃを獲物のように動かす事を意識してみましょう!緩急をつけて動かしたり、おもちゃに噛みついたら、おもちゃを小刻みに動かし息の根が止まるのを再現したり、おもちゃを魅力的に動かして遊ぶのがポイントです!とお伝えしました。

おもちゃの動かし方を変えただけで、手に噛みつく行動は減り、噛まれてしまった後も適切に対応した事で、甘噛みは改善しました。犬はより楽しそうに、そして飼い主さまも噛まれる心配なく、楽しく遊べるようになりました。

まとめ

子犬の甘噛みは自然な行動です。甘噛み自体をやめさせようとするのではなく、まず環境を整え、適切な方法で噛む欲求を満たしてあげましょう。噛まれた後にどう対応するかと考えるのではなく、噛まれないようにどう行動するかを考えることが大切です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次