トレーニング方法

スモールステップが
目指しているトレーニング

犬に最適な環境

トレーニングの前に、犬に最適な環境を与えることを重要視しています。

最適な環境とは、飼い主さまの生活スタイルにも関わってくると思います。例えば「全然お散歩に行っていません」という場合。犬は基本的に、早朝、夕方が一番元気な時間帯なので、なるべくその時間帯を確保してもらい、飼い主さまの生活リズムを整えてもらうようにお願いする場合があります。

室内の環境ですと、犬がゆっくり安心して休める場所(寝床)を作ってもらいます。常に人が出入りするような場所に設置してある場合は、移動をお願いする場合もあります。
お水はこまめな交換が必要なこと、トイレは清潔に保つこと、遊び方の工夫などもお伝えしていきます。

病気の有無や、どこか痛がる様子がないかなども含め、環境設定のアドバイスを行なっていきます。

飼い主さまが教えられるように

犬と暮らしていくのは飼い主さまです。

ということは、飼い主さまが犬に教えられるようにならなければなりません。私はドッグトレーナーという名前ですが、犬に教えるだけではなく、飼い主さまが教えられるように伝えるのが本当の仕事だと思っています。飼い主さまが愛犬のトレーナーになれるよう、飼い主さまに上手く教えられるようになることを目指しています。

犬は人間とは違う「種」である

犬は人間とは違う「種」であることを理解し尊重すること。犬の欲求を満たしてあげること。犬の小さな「NO」のサインに気づいてあげること。こうしたことを常に意識しています。

また、犬と飼い主さまの絆を深めるためにも、より深く理解していただけるような指導を目指しています。

スモールステップの「こだわり」

行動の観察

カウンセリングや犬の行動の観察を重要視し、お困りの行動の原因を探ります。

犬の欲求、どのように学習するか、ボディランゲージなど、まず犬について飼い主さまにも学んでもらいます。

犬の困った行動をただ止めさせるのではなく、「なぜそうなるのか」という行動の機能に注目し、別の行動に置き換え、望ましい行動を増やしていきます。

問題行動と呼ばれるものは、犬が人間社会で一緒に暮らす上で「人間にとっては問題」というだけで、犬としては正常な行動である場合が大半です。このすれ違いを埋めるためには、犬の特性を理解することから始まると思います。犬と人間は違うことを理解し、その違いに悩むのではなく、違いを受け入れ、そこに魅力を感じてもらいたいと考えています。

そうすれば犬の生活をもっと楽しめるのではないでしょうか。

報酬ベースのトレーニング

罰を与えるトレーニングは、飼い主さんが上手く出来ないことや、回避や逃避、学習性無力感などの他の問題行動を作る可能性が高いためスモールステップでは用いません。

また、犬には人間の言葉が通じませんので、罰を使ったトレーニングは「ダメな事は伝えられる」かもしれませんが、犬に正解を教えることが非常に難しいものです。

反対に報酬ベースのトレーニングは、まず正解を「報酬」によって教えられるので、犬に分かりやすく伝えることが可能です。

「正の強化」と「負の強化」

苦痛を伴う体罰や道具(スリップリード、チョークチェーン)は使用せず、行動分析学など科学的根拠に基づいたトレーニング方法を提案します。

例えば、行動分析学を用いた考え方ですと次のような、「正の強化」「負の強化」を使ったトレーニングがメインになります。

正の強化(行動の直後に出現することで、その行動の生起頻度が上がること)

負の強化(行動の直後に消失することで、その行動の生起頻度が上がること)

正の弱化(行動の直後に出現することで、その行動の生起頻度が下がること)

負の弱化(行動の直後に消失することで、その行動の生起頻度が下がること)

学術的には、このような難しい表現になります。よくわからないですね。そこで実例を使ってお話します。

例えば「犬に対して吠えてしまう犬(犬が苦手)」という場合。

犬が目の前にいる → 犬に向かって吠える → 犬がいなくなる

この行動から、吠えることで犬がいなくなると学習し、吠える行動が増えています(負の強化)。

そこで飼い主さまが、この問題行動を改善したいと考えた場合、罰を使うトレーニングを行うと次のような手法になります。

犬が目の前にいる → 犬に向かって吠える → 首へのリードショック(罰を与える)

吠えた後、犬にとって嫌な刺激を与えることで、その行動を減らしていく手法です(正の弱化)。

いっぽう、スモールステップのトレーニングである「報酬ベースのトレーニング」なら、次のような手法になります。

犬が目の前にいる → 飼い主さまを見る(アイコンタクト) → おやつや声かけ(報酬)

アイコンタクトの直後に報酬を与えることで、その行動を増やしていく手法です(正の強化)。

こういった手法なので、まず「吠える以外の行動」をトレーニングで教えます(代替行動分化強化)。すると、

犬が目の前にいる → アイコンタクト → 犬がいなくなる

という行動と結果に変化し、飼い主さまとアイコンタクトをすると犬にとって嫌な刺激がなくなると犬が学習できるので、必然的に犬と飼い主さまとのアイコンタクトが増えます(負の強化)。

ハズバンダリートレーニング

スモールステップでは「ハズバンダリートレーニング」に力を入れています。
「ハズバンダリートレーニング」を日本語にすると「受診動作訓練」と訳することができます。

このトレーニング方法は、水族館や動物園などで動物に医療行為や健康管理をするために行われてきたトレーニングです。

具体的には、

  • 足を出したら採血
  • 口を開けたら検査
  • お腹を見せたら聴診

というように、動物に特定の行動をとってもらい処置を行います。行動的保定とも言われます。

動物病院での予防接種などを想定したトレーニング中

動物病院の予防接種でもできた!こんな風にトレーニングと同じことが飼い主さまにもできるので安心

この行動が身につくと、トリミングサロンなら

  • 「オテ」「ゴロン」で爪切り
  • 「マット」でブラッシング
  • 「チンレスト」でカット

など、犬に特定の行動をとってもらいトリミングを進めることができます。

日常生活なら、

  • 「オテ」で足拭き
  • 「タテ」でハーネス・洋服の着脱
  • 「チンレスト」で目薬・歯磨き

など、毎日のお手入れがお互いにストレスなく楽しく行えるようになります。

ワンちゃんが自分からゴロンしてくれます。
犬が自分からゴロンしてくれます。

「ダメ!」「じっとしていて!」「動かないで!」と犬を押さえつける必要がないので、飼い主さまも犬も嫌な思いをすることがなくなります。犬が嫌がることを無理矢理行うと咬傷事故にもつながります。

ハズバンダリートレーニングを行うことで咬傷事故を減らすことができ、咬傷犬も減り、終生飼養につながると思っています。

毎日のお手入れやトリミングサロン、動物病院などへ行くと暴れてしまうと困っておられる方に、おすすめのトレーニング方法です。

チンレストをして動かないでくれています。