ドッグトレーニングを検討されている方で悩まれることが多い「どんなトレーナーさんを選べばいいのか」という問題。
トレーナーさんには、それぞれの教え方や理論、犬との関わり方、飼い主さまとの関り方があります。
そのため「どんな犬にも飼い主さまにも間違いない」というテクニック論での選び方をお伝えすることは難しいですし、犬や飼い主さまとの相性の問題もありますので「絶対にいい」という選び方はありません。
しかしトレーナー選びにおける基礎となる判断基準はありますので、お話していきたいと思います。
犬にも欲求があります
人間にも欲求があります。当然ですが犬にもあります。
上の①~⑦までが、犬が動物として求めている欲求を階層にして表している図です。
①~⑦が満たされると、異常な行動を示す可能性が低くなると言われています。反対に、満たされていない項目があると不適応行動の発現率は高まると言われています。
トレーナーさん選びで第一に考えていただきたいのが、上の図を理解しているトレーナーであるかどうか。
人間は犬のニーズを理解し満たしてあげ、犬には人間社会で生きていくルールを教え、協調出来る関係性が大切です。犬にも個性がありますから、人間の理想を押し付けないで動物の欲求を理解した上で、必要なトレーニングを提案してくれる。こうしたトレーナーだと飼い主さまも犬も安心できます。
もしトレーニングそのものが、犬にとって「安全に感じられない」「ゆっくりと休息できない」「楽しくない」状態で行われるのなら、一時的に問題行動が減少しても、すぐ元に戻ってしまいます。
タイミングと一貫性
最近ではインターネットとスマートフォンの普及によって、簡単に誰もがネットで多くの「ドッグトレーニング」や「しつけ」の方法を閲覧することができます。
トレーニングやしつけの方法が正しく書かれているサイトもありますが、犬の誘導の仕方や、強化するタイミングが違うだけで、「正しい情報」であっても別の行動を強化してしまい、そこでエラーが起きてしまっていることがあります。
私が犬の保育園に勤めていた時、飼い主さまからよくお聞きしたのが、「サイトに書いてある方法を試してみたけれど治らない」という話です。
トレーニングは「良い行動」を強化するタイミングと一貫性が大切です。
そこでトレーナーさん選びでは、
- 飼い主さんに直接「良い」タイミングを伝えてくれる
- 飼い主さんの正しい声かけの方法を教えてくれる
- 飼い主さんの「立ち振る舞い、犬の誘導の仕方」を教えてくれる
犬だけ、飼い主さまだけ、を見たトレーニングではなく、相互の関係性を築いていけるトレーニングを行ってくれるトレーナーさんがおすすめです。
よくある
「声をかけるタイミングの違い」の例
例えば「フセ」ですが、褒めるタイミングは「フセをした瞬間」です。少しでも声をかけるタイミンがズレて、立ち上がった瞬間に声をかけてしまうと、立ち上がる行動の方が増えてしまいます。結果として飼い主さまからすると「フセができない〜」となってしまいます。
犬からしたら「立ち上がる行動=正解」となっているので、ここですれ違いが生まれます。
他によくあるのが、散歩中、他の犬が見えたら吠える場合。
飼い主さんの多くは吠えている時にしか声をかけない(「ダメ!」とか)ので、吠える行動が増えているケースがあります。
犬としては「声かけされている=褒められた、構ってもらえた」などと覚えている状態。
望ましい行動の時(この場合は吠えずに歩いている時)に声をかけて正解を伝えたいのです。
犬のトレーニングやしつけサイトで書かれてあることをやったけれど上手くいかないのは、声かけのタイミングのズレや、一貫性が保てていない事が原因だと思われます。
こうした事を理論と実践でトレーニングに取り入れているトレーナーさんだと、より良い選択肢になります。
こんな注意点もあります
トレーナーさんによっては「罰ベース」のトレーニングを実施される方もいらっしゃいます。どのような方法を選ばれるのかは飼い主さまの判断ですが知っておいていただきたいのは、罰ベースのトレーニング方法は飼い主さんが実行するのが難しく、実行が難しいと普段の問題行動が悪化する可能性が高いということです。
過去に「預かりトレーニング」をした犬で、トレーナーを前にしたとき逃げる様子があれば、罰を与えられていた可能性があります。再度トレーニングを行われようとしているなら、罰をベースにしていないトレーナーさんの方がおすすめです。
犬の保育園で問題行動を治療しようと考えておられる方もいらっしゃいます。
しかし、犬の保育園は予防のための場所であり、問題行動を治療する場所ではありません。また、一緒に暮らす飼い主さまが教えることで、犬の行動は改善します。
犬の問題行動でお悩みがある場合は、犬が安心できる自宅や自宅付近でトレーニングができる「出張トレーナー」をおすすめします。