犬のしつけの重要性

どうして犬のしつけが重要なのでしょうか?
しつけを通じて犬の社会性が育まれることで、犬も飼い主さまもストレスが軽減し、毎日一緒に楽しく暮らせるようになるからです。

何も教わっていない犬は「自由奔放」で幸せそうに見えるかもしれません。しかし実際には「怖くないこと」「反応しなくてもいいこと」など、社会から受ける色々な刺激に過剰反応している状態である場合があります。

これは犬にとって「楽しい状態」ではなく、人間に例えるなら「ストレス過多」な状態を毎日続けていることと同じなんです。

また、しつけと言うと堅苦しく聞こえてしまいますが、「狭い道は広がらず1列で歩こうね」とか「廊下は走らないでね」とか、子供に教えてあげるのと同じ事だと思います。

成犬の行動で
困っている方へ

例えば、こんな犬の行動で困っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

  • 甘噛みがおさまらない
  • トイレの失敗がおさまらない
  • 散歩中に遭遇する犬や人に対して吠える
  • インターフォンや来客に対して吠える
  • リードやハーネスをつけようとすると噛んでくる
  • 爪切りやブラシを持つと逃げる
  • 食器を片付けようとする威嚇してくる
  • 散歩に行くと途中から歩かなくなる
  • 散歩に行くとグイグイ引っ張る
  • 動物病院やトリミングサロンで大暴れしてしまう

こうした犬の問題行動には原因があります。多くの場合、その原因というのは行動の前後に隠れています。

例えば、お散歩中に出逢った他犬に激しく吠える場合、よくあるのが、「飼い主さまが吠える行動を強化してしまっている」こと。飼い主さまは「他犬に吠える」事をやめさせようと対応しているつもりでも、犬にはそれが伝わっていない。コミュニケーションの「すれ違い」が起きている状態です。

「しつけ」は犬の学習方法を学ぶ事でもあります。どのように学習するかが分かれば、飼い主さまは犬への正しい接し方が理解でき上手になります。
コミュニーションが上手く取れれば、お互いのストレスも減り、問題行動も減っていくものです。

犬を迎えたばかり
(主にパピー)の方

パピーを迎えたら、まず「社会化」!

「社会化」という言葉を聞いた事があるでしょうか?
他犬や人、さまざまな環境、物体、音に対して適応し、適切に反応できるようになるプロセスを指します。

社会から受ける刺激に対して、いろんな事を「へっちゃら」にしていく。「怖いものではないよ」を教えていく事です。

例えば外出時も、おやつをあげながらお散歩をします。他の人からおやつをもらったり、犬を見たらおやつをあげたり、車が通ったらおやつをあげたり。「人は怖い存在じゃないよ」「これは良いことだよ」と結びつけていきます。

子犬の時期に、飼い主さまとしか触れ合った事がなく、全く外に出ずに過ごしてしまうと、成犬になった時に人、犬、車など全てのものを怖がるようになります。
全く歩けない、吠える、攻撃しようとするなどの問題が出てきてしまいます。

特に生後1ヶ月〜3ヶ月は好奇心が強い時期です。生後3ヶ月を過ぎると、好奇心より恐怖心(警戒心)の方が上回ってしまうので、色々な物に対して警戒をするようになります。
なので、社会化期(1ヶ月〜3ヶ月)に様々な人や犬、車などを「怖いものではないよ」と教える社会化が大切になってきます。

「子犬の頃は大丈夫だったのに、色々な物に吠え始めるようになった…」など、5、6ヶ月あたりから問題行動が起こり始め、相談される方が多いのも事実です。

犬も人と同じで育った環境によって違いが出てきます。子犬の時期をどう過ごしたによって、その子の将来も変わってきます。
子犬の社会化トレーニングは大変重要です。

犬を飼う前の方

「しつけ」の重要性の前段階として、次のことが飼い主さまに受け入れられるかどうかが重要になってきます。

  • 自分の生活環境を知る。例えば住宅街なのか郊外なのか。この判断で犬種が決まってきます。
  • トリミングが必要な犬種だったら、サロンに連れて行ける時間があるのかどうか。(サロンによっては月2回連れて来ることを推奨されます。)
  • 犬種に合った運動量があるので、そもそもその犬種に費やせる時間があるのか。
  • 犬と向き合う時間は確保できるのか。どの犬種も朝晩の散歩や運動は必須です。
  • 「犬に合わせなければいけいない」部分がたくさんあります。家具の配置やゲートの設置、生活リズムなど。
  • 留守番時間はどのくらいになるのか。時に子犬の時期はいきなり長時間の留守番はできません。

犬と向き合える時間が作れない生活環境、生活リズムなら、厳しいようですが飼わない方がお互いにとって良い判断となります。

犬は、人間の都合では動いてくれませんし、じっと止まってもくれません。また、人間の都合で可愛がったり叱ったりする対象でもありません。いくら可愛いからと感じても犬は「ぬいぐるみ」ではないのです。

生活環境の変化が受け入れられる方は、犬を家族の一員として迎えてあげてください。そして、迎えられたときから「しつけ」を行うことで、お互いに楽しく安心して暮らせる土台を作るようにしてもらいたいと思います。

「しつけ」は継続できることが重要

昔からある、犬に苦痛や不安を与える「しつけ」。こうした方法は、一時的な効果があるように感じられるかもしれません。しかし、罰から逃れるために回避をしたり、叱られる前に攻撃したりなど、別の行動を引き起こす場合もあります。本当の意味で犬との楽しい絆を作ることは難しくなります。ご家庭の一員として迎えた犬には適していないのではないかと私は感じています。

スモールステップでは、「しつけ」とは問題行動の原因を探り、犬も飼い主さまも共に達成できる目標を設定し、継続して向き合うことで解決できると考えています。

大きすぎる(多くの場合、犬にとって大きすぎる)目標設定で挫折して中途半端で終わるよりも、目標を小さく切り分け、人も犬も「小さな達成」を積み重ねる「継続できるしつけ」こそ、時間がかかるように感じますが、実は大きな目標を最速で達成する方法となると信じています。